情報流の流れに身を任せ

技術トレンドや、それがもたらすイノベーションの可能性について、つらつらと書きます。

高浜原発の延長認可。それだけは、駄目なんじゃないか?

 

高浜原発の延長が認可されたという。

停止後、チェックを経ての再稼働は認めても、延長だけは、認めては駄目だと思っていたので、ショックだ。

 

福島原発事故は、40年廃炉の原則が守られていれば、間違いなく起きなかっただろう。

原発事故対策としては、色々なものがあるが、40年廃炉ルールさえ、守っておけば、事故の起きる確率は、大幅に減るのだ

 

40年で廃炉にならないということは、大きく技術面と、会社の政治面の2つで大きなリスクを抱える

 

まず、技術については、

・導入当時の知識継承が薄れる

・安全技術が見直されない

の2点が大きい。

前者は、ベント周りの仕組みでの混乱

後者は、福島原発は、発電機が地下にあるという致命的な欠陥を放置してきたことがそれにあたる

 

次に、最も深刻なのは、会社の政治面である

 

あなたが、電力会社の社長だったとしよう。

あなたの任期は、あと5年。

 

もし、廃炉を選ぶと

発電所の建設など新たな電源の確保に加え、ただ、コストしか生み出さない廃炉の費用の発生により、経営は悪化する

 

もし、延長を選べば、

→経営に負荷は掛からず、経営は安定。任期終了まで逃げ切れば勝ち。原発は専門家が安全、大丈夫と言っている。つまり、万が一、想定外のことが起きても、自分や会社のせいではない。

 

 

これで、延長が可能なら、選ばない方がおかしい。実際、株主や他の経営層に対しても、説明ができないのである

 

 

これは、バブル崩壊後の不良債権処理が進まなかったのによく似ている。

きちんと精査すれば不良債権でも、少し景気が良くなれば、不良債権で無くなるかもしれない。それなら、自分が頭取であるうちは、認めずに乗り切ろう、なんなら、もう少し融資して、乗り切るまで助けよう、という話になる。

 

つまり、会社にとって、合理的なベネフィットが無ければ、任期の限られているサラリーマン社長に英断は出来ないのである。

 

 

一方、もし、40年廃炉が延長不可能だとすると、状況はガラッと変わる。

まず、国が決めたことなので、仕方が無いと、責任は自分以外になる。

そして、どのみち廃炉になり、コストが掛かるのなら、今後も廃炉は続くのだから、今のうちに、安く安全に廃炉にできるノウハウを蓄積し、次の廃炉のコストを浮かそうと思うだろう。

 

つまり逃げる選択肢を与えたことが、逃げの一手しか打てなくさせているのである。

 

 

今回の認可はかえすがえす残念である。